「HUAWEI P20(EML-L29)」レビュー。“Proじゃない方”の実力は?

2018.05.20 モバイル ライター:__agar

「HUAWEI P20(EML-L29)」を購入し、数日使ってみたのでレビューします。国内未発売の“Pro”でも“lite”でもない普通のP20、気になっている方はぜひ参考にどうぞ。


※本記事は、技術基準適合証明を取得していない端末の日本国内での利用を推奨するものではありません。

「HUAWEI P20」とは?


「HUAWEI P20」は、ファーウェイの主力機種・Pシリーズの2018年モデルです。2018年3月に、上位モデルの「HUAWEI P20 Pro」や廉価版の「HUAWEI P20 lite」とともに発表されました。

Mate 10 Proやhonor 10など、現行の各シリーズの最上位機種と同じく、AI処理に特化したNPUを内蔵するハイエンドSoC「Kirin 970」を搭載。ディスプレイはP20 Proより一回り小さい5.8インチのIPS液晶で、いわゆる“ノッチ”付きのベゼルレス仕様です。

P20 Proがカラー+モノクロ+望遠のトリプルカメラを採用する一方、P20は従来通りのカラー+モノクロの2基構成としています。余談ですが、カメラ性能の評価サイト「DxOMark Mobile」でのスコアは102点で、P20 Proに次いで全機種中2位を獲得しています。Proの影に隠れているものの、こちらも十分すぎるほど優秀なカメラを搭載しているというわけですね。

P20 Proとの主な違いとしては、カメラのほかに、ディスプレイサイズ(無印:5.8インチ、Pro:6.1インチ)やディスプレイ方式(無印:IPS液晶、Pro:有機EL)、RAM容量(無印:4GB、Pro:6GB)、防水(Proのみ)などがあります。昨年のP10/P10 Plusの関係よりも少し、単なるサイズ違いではない差別化が進んだといったところでしょうか。

EXPANSYSで購入


P20 Proは日本でもdocomo独占という形で発表されましたが、サイズ的に普通のP20が好みだったので、今回は海外通販サイトのEXPANSYSでEML-L29のブラックを購入しました。

購入前に秋葉原の某店で実物を見たことがあり、ピンクゴールドのグラデーションのかかった背面パネルが美しいなと惹かれていたのですが、全4色のカラーバリエーションのうちブラックだけはフレームが光沢仕上げではないということを知って迷わずブラックを選びました(あまりギラギラしたスマホは苦手で……)。

私が注文した5月13日時点での価格は74,325円でしたが、本記事の執筆時点では若干値下がりしているようです。詳細は以下の商品ページよりご確認ください。

HUAWEI P20 EML-L29 (128GB, Black) | EXPANSYS

HUAWEI P20 EML-L29 (128GB, Pink Gold) | EXPANSYS

パッケージ・付属品など


パッケージは昨年のP10のような観音開きではなく、一昨年のP9のような大きな箱でもなく、大人しい感じの箱です。しかし、真っ赤なライカのロゴがしっかりとアピールしてきます。


箱を開けると、まずは本体が登場。


同梱品をすべて並べてみました。本体のほかには、ACアダプタ、USB Type-Cケーブル、イヤホン、イヤホンジャック変換ケーブル、ケース、SIMピン、説明書、保証書が付属しています。


既視感のあるイヤホン……。


本体にはあらかじめ液晶保護フィルムが貼られています。


付属のケースはTPU素材のクリアケースで、内側には本体との密着による干渉縞の発生を防ぐマイクロドット加工が施されています。



付属ケースのサイズや操作性は申し分なく、そのまま使えるクオリティーです。やや不安な点としては、背面のカメラ周りを保護する部分の高さがギリギリなので、落下などあまり強い衝撃を与えると保護し切れないかもしれません。



ケースの側面にはHUAWEIのロゴが入っており、さり気なく純正品であることをアピール。

外観


ベゼルレス志向のデザインながら、指紋センサーは前面に配置するという比較的珍しい組み合わせ。中途半端と感じる方もいるでしょうが、操作性としては下側にはある程度ベゼルが残っていた方が使いやすいですし、指紋センサーも前面にあるメリットはそれなりに大きいので個人的にはツボです。


ノッチ部分に配置されているパーツは少なく、画面の切り欠きは小さめ。


ボディーのデザインはP9/P10のアルミユニボディから変わり、背面ガラス+アルミフレームの構成に。ブラックの場合は背面ガラスにグラデーションがかかっていない(トワイライトとピンクゴールドはグラデーション)ことに加えて、honor系の機種やP10 liteのような角度によって見え方が変わる加工も施されておらず、単色のシンプルな仕上げとなっています。


カメラ部分の突起はやや大きめ。ケース無しで机などに置いた際にはバランスが少々気になりました。


右側面には音量キーと電源キー。


左側面にはSIMカードスロットがあります。


モデルによって異なりますが、筆者の購入したモデルはデュアルSIM版。SIMトレイにはnano SIMを2枚セットできます。シングルSIM版/デュアルSIM版ともにmicroSDカードには非対応です。


アンテナのための切り込みは上部・下部の計4ヶ所に設けられています。


下部にはUSB Type-C端子。イヤホンジャックは廃止されました。


デザインやサイズ感に関しては満足。昨今のハイエンド機としては手頃なサイズの幅70.8mmのボディーは操作性良好ですし、やはり手に持った状態でも置いた状態でもロック解除しやすい前面指紋センサーは使いやすいです。また、鮮やかなグラデーションがユニークな「Twilight」からフレーム・ガラス部分ともに落ち着いた仕上げの「Black」まで、幅広いユーザーの好みに応えるカラーラインナップとなっている点も好感度が高いです。

iPhone Xの登場以降、カメラを縦に並べるメーカーは増えていますが、ややもすれば単なる「パクリ」に見えてしまいがちなところ。P20シリーズでは背面をランドスケープモード主体のデザインとすることで、最大の武器であるカメラを前面に押し出すためのデザインの一部として取り入れています。ノッチの見せ方も含め、今のトレンド要素を上手く調理できているデザインではないでしょうか。

スペック・動作

「HUAWEI P20(EML-L29)」のスペック表

SoCKirin 970 2.36GHz+1.7GHz オクタコア
RAM4GB
ROM128GB
画面サイズ5.8インチ
画面解像度2,240×1,080(FHD+)
バッテリー3,400mAh
OSAndroid 8.1
アウトカメラ約1,200万画素 F1.8(カラー)+約2,000万画素 F1.6(モノクロ)
インカメラ約2,400万画素 F2.0
LTEバンドBand 1/2/3/4/5/7/8/9/12/17/18/19/20/26/28/32/38/39/40/41
サイズ約149.1 × 70.8 × 7.65mm
重量約165g
カラーTwilight / Midnight Blue / Pink Gold / Champagne Gold / Black

例年通り、Mateシリーズで最新SoCを初搭載、その後Pシリーズやhonorにという流れなので、スペック的には特に目新しい物ではありません。


ざっくり言えば、基本性能はSnapdragon 835搭載機と同程度か、少し良い程度。7万円台のP20ではまだしも、10万円のP20 Proではスペックだけを見れば今期の他社ハイエンド機と比べてしまうと見劣りするかなと思います。


一方、体感動作は決して悪いものではありません。ちょうど公開されたばかりの最新ゲームアプリ「PUBG MOBILE」をP20にインストールして遊んでみたところ、パワー不足を感じることはなく快適にプレイできました。

スペックそのものが足りないわけではないためレスポンスや処理速度に不満は感じませんが、スクロールの挙動がイマイチ。これに関しては他のファーウェイ製端末でも感じることがあるのでチューニングの癖なのかな?と思います。この点を除けば概ね良好な動作といえます。

UI・ソフトウェア


Androidバージョン・EMUIバージョンともに最新の8.1。UIはEMUI 8系を搭載する他機種とさほど大きな違いはありません。


ホームボタンなどの操作方法は通常のナビゲーションバーのほかに、複数の機能を1つのボタンに統合した「画面内ナビゲーションキー」や、指紋センサーを使った「画面外ナビゲーションボタン」が用意されています。


ディスプレイの解像度をフルに使うFHD+モードのほか、解像度を落として処理する電池持ち重視のHD+モードも選択可能。


国内のMVNO各社のAPNは多数プリセットされています。


生体認証周りをチェックすると、指紋認証は高速で精度も良く優秀。ファーウェイの端末は価格帯を問わず指紋認証機能の出来は良い物が多いと感じています。

一方、顔認証は他社ほどの出来ではないと個人的には感じました。具体的にはGalaxyシリーズ(S8/Note8/S9)との使用感の比較になるのですが、正しく認証できた際の速度は問題ないものの認証できる許容範囲が狭い印象。顔の角度などもそうなのですが、メガネの有無や登録時と違うメガネをかけている時などになかなか顔認証ではロック解除できませんでした。簡単に解除できないのは必ずしも悪いことではありませんが、Galaxyシリーズでは出来ていた使い方なので少し残念。センサー位置・速度・精度ともに指紋認証がかなり使いやすい機種なので、そちらをメインで使った方が良さそうです。


P20には画面上部の“ノッチ”を隠す機能が用意されていて、有効にするとどの画面でもノッチ部分が黒く表示されるようになります。感覚としては一般的な黒背景のステータスバーに近い見た目になり、違和感なく使えました。境目の角の部分がカーブしているのでディスプレイの下側とのデザインのバランスも良く、うまく馴染んでいるのでノッチを気にせず使えると思います。

カメラ


P20は、従来のPシリーズでも採用されてきた「Leicaダブルレンズカメラ」を搭載しています。

片方のカメラは約1,200万画素のRGBセンサー、もう片方のカメラは約2,000万画素のモノクロセンサーという構成で、両者で役割分担して1枚の写真を撮影することで、RGBセンサーから得た色彩と、カラーフィルターが無い分より多くの光を取り込めるモノクロセンサーから得たディテールや豊かな階調を両立できるというのがこのカメラユニットの特徴です。



また、2つのカメラの位置の違いからわずかに発生する視差を活かして被写体の深度情報を取得、擬似的に背景をぼかすことができる「ワイドアパーチャ」という機能も用意されています。以前から搭載されていますが、絞り具合やピントの位置を後から変えることもでき、接写など大きなボケを得やすい場面ではなかなか楽しい機能です。



(夜間モードで撮影)


(通常モードで撮影)

P20やP20 Proには、光学式手ぶれ補正、電子式手ぶれ補正に加えた第3の手ぶれ補正として、「AIS(AI Image Stabilisation)」なるものが搭載されています。Kirin 970のNPUを活かしたAI機能がまた1つ増えたわけですが、このAISの恩恵を最大限に受けられる撮影モードが「夜間モード」で、手持ちでの数秒単位の露光が可能になる不思議なモードです。

ちなみに、上の夜間モードで撮影した作例ではExif上でのシャッタースピードは4秒。いくら手ぶれ補正が強力と言ってもまずあり得ない数値なので、具体的な仕組みは明かされていませんが、おそらく4秒間常にシャッターを開放しているわけではなく複数枚の写真(あるいは動画)を撮って合成するような処理を行ったり、その中で明らかに端末が動いてしまっている/ブレてしまっている瞬間を認識して取り除くといった処理を行っているのがAISの実態なのではないかというのが筆者の見解です。

仕組みはさておき、実際に夜間モードと通常モードで撮影した写真を見比べてみると、夜間モードではSS/ISOを両方オートにした状態ですと若干オーバー気味の露出になりやすいと感じました。そして、通常モードでの撮影でも「Leicaダブルレンズカメラ」の素性の良さと補正機能で良く撮れてしまうので、「確かにすごい機能ではあるけれど、ある程度の照明やイルミネーションがある普通の夜景なら夜間モードを持ち出すまでもないのでは?」という印象。大自然の中での夜景や星空など、極度に明かりの少ない場面ならもっと実力が発揮されるのかもしれませんね。



さまざまな場面に合わせた撮影モードが揃っていても、それをユーザーが使いこなせなければ意味がありません。

スマホカメラの一般的な利用シーンを考えると「このモードを選んでこうすれば良く撮れる」あるいは「マニュアルモードで設定を弄ればすごくきれい」といった機種は評価されにくく、当然、メーカー側も方向性として「オートでいかに綺麗に撮れるか」ということを非常に重視されているところが多いです。その1つの到達点とも言えるのがP20/P20 Proの「マスターAI」で、AIが被写体を認識して自動で最適なモードを選んでくれます。

Mate 10 Proに採用されている同様の機能を改良したもので、オートモードの中に複数のモードが内包されていて自動で切り替わるというものは以前からよくありますが(ソニーの「プレミアムおまかせオート」など)、手動で選べるモードと同じ選択肢の中から最適なモードを自動で選ぶという、正真正銘の撮影モードを気にする必要が無くなる機能は珍しいのではないでしょうか。


以下、実際に「HUAWEI P20」で撮影した写真です。作例はすべて「写真」モード(オート)での撮影で、モード判定によるバラつきを避けるため、ここでは先述の「マスターAI」はオフにした状態でテストしました。


画作りの傾向としては、こってりと色乗りの良い彩度高めの写真になりやすく、何もしなくてもSNS映えはするだろうなという印象。スマートフォンのカメラとしてはある種正しい方向性なのではないでしょうか。

マニア的には「こういう傾向の写真であのライカの許可が出るのか」というのは少々意外にも思うのですが、シーンによっては雰囲気のある写真になることも少なくありませんし、ともかく高いポテンシャルを持っていることは間違いありません。

まとめ


実際に使ってみて感じた「HUAWEI P20」の長所・短所をまとめると、やはりカメラの優秀さは特筆すべきものです。望遠レンズも欲しいという場合はともかく、画質的にはProでなくても満足。好みの問題ではありますが、扱いやすいサイズ感や、狭額縁+前面指紋センサーの使い勝手に魅力を感じる人も少なくないはず。ノッチ隠しの表示もなかなか悪くないデザインです。

短所というほどではありませんが動作を最重視するのであれば、同等の金額で視野に入る他社のハイエンド機には勝てない部分もあります。P20ならではの機能に魅力を感じるかどうかが決め手となるでしょう。

最大のライバルは兄貴分の「P20 Pro」で、トリプルカメラやRAM容量、防水など、単なるサイズ違いに留まらない機能差があるので迷う人も多そうです。執筆時点での相場では3万円程度と小さくない差額があるので、そのあたりを天秤にかけてみてどうか、というところですね。P20そのものはおすすめできる機種であることに間違いありません。