「Essential Phone PH-1」レビュー。完璧ではないが意欲的かつシンプルな1台

2018.05.06 端末レビュー ライター:__agar

SIMフリースマートフォン「Essential Phone PH-1」をAmazon.comのセール中に購入し、10日間ほど使ってみたのでレビューします。

※本記事は、技術基準適合証明を取得していない端末の日本国内での利用を推奨するものではありません。

「Essential Phone PH-1」とは?


Android社の立ち上げからGoogleによる買収後のAndroid OSの開発までの一連の流れにおけるキーパーソンであり、“Androidの父”とも呼ばれるアンディ・ルービン氏。彼がGoogle退社後に立ち上げたメーカー・Essentialの第一弾となるスマートフォンが「Essential Phone PH-1」です。

その成り立ちからも単なる新興のスタートアップメーカーとは一味違うことが感じられますが、最初の製品でありながらその仕様は意欲的なものです。Snapdragon 835を搭載するハイエンド機を初手で送り出してきたことはもちろん、特殊形状のディスプレイやオプションの360度カメラ、一般的にスマートフォンではあまり使われないチタンやセラミック素材を採用するなどオリジナリティーにあふれています。

それでいて、素のAndroidに近いシンプルなソフトウェアや徹底した外装からのロゴ類の排除など、クリーンであることにもこだわった機種です。

パッケージ・付属品


こちらがEssential Phone PH-1のパッケージ。外箱の表面にはほぼ実物大のイラストが描かれています。


大きめの箱をスライドさせると……


本体と一通りの付属品が並んで収められています。


パッケージ内容の一覧です。PH-1本体のほかには、USB Type-Cケーブル、ACアダプタ、3.5mmステレオミニプラグ用の変換ケーブル、SIMピンが付属します。

ケーブル類は単なるビニールの被覆ではなく、SIMピンもEssentialのロゴを模した形状で、なかなかパッケージや付属品まで凝っている印象を受けました。

外観

続いて、「Essential Phone PH-1」の外観・デザインを見てみましょう。写真の端末のカラーは「Pure White」です。


まずは前面。ボタンやロゴなどのないすっきりとしたデザインです。フロントパネルは2.5Dガラスで外周がわずかにカーブしています。


上左右の3辺のベゼルを狭めた設計で、画面占有率は高め。

時折、この手のデザインを見ると「なぜ下側も削らないのか、中途半端だ」と言う方もいるのですが、少なくとも現行のAndroidの操作体系では4辺狭額縁は現実的ではなく操作性を極端に悪化させることに繋がりますし、かと言って例えばiPhone Xなどのようにソフトウェア的に操作性を確保するためのマージンを取るのであれば「それでも4辺狭額縁にこだわる理由はあるのか?」という話にもなってきます。下側だけを少し広めに残した3辺狭額縁は妥当な落とし所ではないかと個人的には思います。


前面のデザインのシンプルさをよく観察してみると、画面占有率の高さに加えて通話用スピーカーの配置もスタイリッシュ。フレームとフロントパネルの境目にさり気なく溶け込んでいます。


続いて背面。上部にはLEDフラッシュとカメラ、サブマイク、アクセサリー装着用のマグネットが一直線に揃えられて並んでいます。指紋センサーも背面に搭載。


右側面には上から、音量キーと電源キー。電源キーは+/-が独立したタイプです。


左側面は特になし。端末のカラーにもよるかと思いますが、フレームの金属色に真っ白なアンテナラインが目立ちすぎるのはデザイン上やや気になりました。


上部も特になし。


下部にはスピーカーとUSB Type-C端子、SIMスロット、マイク。


シングルSIM仕様で、microSDカードも非対応なので単純な構造のSIMトレイです。ちなみに、SIMトレイにピンを差し込むための穴とトレイの隣にあるマイクの穴のサイズがほとんど同じなので、SIMカードを出し入れする際は誤ってマイクを破損しないよう注意。


公式画像を見る限りは、平らな前面・背面のパネルと垂直な金属フレームを組み合わせた角ばった形状に見え「ケースが無いと持ちにくいかな?」と思っていたのですが、しっかりと面取りされていて実際に手に取ると想像よりもフィット感があります。チタンとセラミックというスマートフォンでは珍しい素材を使っているということもあり、実は裸運用でしっかりと素材の質感を味わった方が心地良いかもしれません。

スペック・動作

Essential Phone PH-1のスペック表

SoCSnapdragon 835 2.45GHz+1.9GHz オクタコア
RAM4GB
ROM128GB
画面サイズ5.71インチ
画面解像度2,560×1,312
バッテリー3,040mAh
OSAndroid 7.1→8.1
アウトカメラ約1,300万画素 F1.85
インカメラ約800万画素 F2.2
サイズ約 141.5 × 71.1 × 7.8mm
重量185g
カラーBlack Moon / Pure White / Ocean Depths / Stellar Gray / Halo Gray / Copper Black

スペック的には、Snapdragon 835を搭載する世代のハイエンド機としては平均的。ディスプレイ解像度はやや変わった仕様です。アウトカメラはデュアルカメラ、OSは既にAndroid 8.1へのメジャーアップデートが配信されています。


Antutu Benchmarkを使って計測したベンチマークスコアです。スペック相応の数値で、実動作も動作そのものは十分。ただ、タッチパネルおよびスクロールのチューニングが足を引っ張っていて、体感動作は今ひとつだと感じる場面も少なくありませんでした。こちらについてはソフトウェアによる部分もあるので後述します。

UI・ソフトウェア


ソフトウェアは基本的にはPure Android。UIのカスタマイズやプリインストールアプリは最小限に抑えられています。


横長のノッチではないまでも、画面内にインカメラが食い込んだ「AQUOS S2」や「AQUOS R compact」と似たディスプレイ形状。この部分の扱いに関しては、残念ながらあまり有効な使い方は実装されていません。多くの場面では、インカメラの左右のスペースは極太のステータスバーとして贅沢に使われます。


「スペック・動作」の項目で触れたタッチパネルの感度やスクロールのチューニングの問題について改めて触れると、タッチパネルの感度に関しては、Android 8.1へのアップデート時に開発者向けオプションとしてタッチ感度の設定項目が追加されています。根本的な解決とは言えませんし適切な設定を探る手間はありますが、ある程度の状態に持ち込むことはでき、効果はあります。

スクロールの動作に関しては、現状ではレスポンスやスクロール中のフレームレートの問題か、このクラスの機種としてはあまり自然ではありません。この違いに気付く人であればそれなりに気になってしまうかと思います。

いくつか不満は挙げたものの、スタートアップ企業の初物でありながら迅速なメジャーアップデートや先述のタッチ感度調整のようなユーザーからのフィードバックをしっかり取り入れた細かな対応も行われているので、今後改善されていく可能性は十二分にあるでしょう。

カメラ


Essential Phone PH-1のデュアルカメラは、片方がカラー、片方がモノクロという組み合わせ。ここでは、使用頻度の高いであろうカラー写真のオート撮影に重点を置いてテストしました。

以下、実際に「Essential Phone PH-1」で撮影した作例です。





上の作例は比較的良く撮れたものを選んではいますが、率直な感想を言えば、今時の各社のハイエンド機のようなスマホ離れしたハイクオリティーを求めるのは禁物。PH-1の実売価格であるアンダー5万円くらいの機種として見れば、優秀とは言わないまでも並程度という印象でした。

晴天の屋外での風景写真といった整った条件であればそれなりに見られる写真が撮れますが、オートホワイトバランスの精度があまり良くないことから料理はあまり美味しそうに撮れないことが多かったり、シーンによってはシャープネスが強すぎるのが目立ったりと実力を発揮できる場面は限られています。低照度ではある程度のノイズが出るのはスマートフォンのセンサーサイズですから仕方ないでしょうが、都市部の夜景程度でも通常のオート撮影でスローシャッターになりすぎてそもそもまともに撮れない……といった一幕もありました。

カメラアプリがシンプルなのはとても良い工夫だと思いますが、オート撮影の出来があまりよろしくない現状を見るともう少し設定を弄れるモードも欲しいかな、という気はしてしまいますね。

まとめ


タッチ感度やスクロール、カメラなど気になる部分はありますが、全体的にはよく出来た機種だと思います。これが5万円程度で買えてしまうことを考えれば万々歳です。(1世代前になってしまいましたが)ハイエンドクラスの基本性能、インパクトのあるベゼルレスディスプレイ、チタンとセラミックで構成されたボディなどから安さは感じません。

一般的な「コスパ重視」の機種として挙げられやすいクラスよりはもう少し上の機種を求め、コストパフォーマンスは重視しつつもしっかりした物が欲しいのであれば狙い目の機種でしょう。