世界最小の13インチノートPC「XPS 13」の2018年モデルを数ヶ月使ってみて

2018.06.24 PC・Mac・周辺機器 ライター:__agar

DELLの「XPS 13」は、13.3型としては世界最小だというコンパクトなモバイルノートPCです。2018年モデルである「XPS 13(9370)」を購入してから約4ヶ月、実際にメインPCとして使ってみて良かった点、イマイチな点を振り返っておきたいと思います。

良かった点①:とにかくデザインがかっこいい



アルミ削り出しの天板や底面、カーボンファイバー製のパームレストや3辺狭額縁のディスプレイ部など、どの面から見ても高級感のあるデザインが気に入ってます。特に、キーボード周りのカーボンパーツは他社のPCでは見かけないデザインですし、しっとりとした手触りも良く、また使用時によく視界に入る部分であるだけに「XPSらしさ」の演出に一役買っていると思います。

2015年発売の「XPS 13(9343)」以降、基本的なデザインは変わっていませんが、2018年モデルの9370では更なる薄型化を図っているほか、天板のロゴや底面のデザインが変更され、より洗練されたイメージに仕上がっています。初出から3年が経過した今でも、間違いなく個性的な輝きを持ったデザイン性の高いWindowsノートPCの1つと言えるでしょう。

良かった点②:サイズとパフォーマンスが両立されている


13.3インチ液晶を搭載しながら、ベゼル幅がわずか4mmという狭額縁設計によって、11インチクラスのノートPCに近い本体サイズに収めています。近年では、タブレットや2in1 PCにシフトしてしまったのか、11インチクラスの純粋なクラムシェル型のマシンはかなり減っているように思います。特にハイスペックな物となると尚更で、コンパクトかつ高性能なモバイルノートPCを求めるならXPS 13は有力な候補の1つではないでしょうか。

筆者が購入したモデルは、i7-8550U / メモリ 16GB / SSD 512GB / 4K(3840×2160)といった構成で、公式サイトの表記にならえば「プラチナハイエンド・4Kタッチパネル」というモデル。SSDを最大の1TBにしていないことを除けば最上位モデルに近い構成です。

こちらを選択した理由としては、LightroomやPhotoshopなどをよく使う都合からメモリには余裕を持たせておきたかったことが最大の理由です。当初は「メモリを16GB積むには4Kディスプレイを選択するしかない」というラインナップの都合上、必要性を感じていなかった4Kディスプレイを選ばざるを得ないことがやや不本意だった(16GBでFHDのモデルも用意して欲しかった)のですが、実際に使ってみると懸念していたほど高解像度が足を引っ張るということもなかったので、これはこれでありかなと思っています。

XPS 13の購入前、直近で使っていたマシンはi7-7500Uを搭載している機種だったのですが、第8世代(Kaby Lake-R)のi7-8550Uになって性能差を感じられたのも買い替えた甲斐がありました。Uシリーズ初のクアッドコアかつ1コアあたりの性能も伸びているということで、今買うなら多少お金を出しても第8世代の機種を選ぶのがおすすめです。9360の後期のモデルには、9370と同じKaby Lake-RのCPUを搭載するモデルもあるので、価格によってはそちらを選ぶのも良いかもしれませんね。

良かった点④:文字中心の用途でも4K液晶の恩恵は大きい


ブログの更新や原稿の執筆など、文字中心の用途が使用時間の多くを占める筆者としては「別に4K液晶はいらないかな」と購入当初は考えていました。しかし、実際に使ってみるとそれがそうでもないのです。

3,840×2,160のディスプレイを200%表示、つまりはFHD相当で使っているのですが、このような環境で使ってみると「Windows 10のフォントレンダリングって高解像度環境で殴れば意外と綺麗になるんだ」という発見がありました。数年前にMacに愛想を尽かしてWindowsに帰ってきた出戻りユーザーとしてはいつも気になっていた、“文字の汚さ”という小さなストレスの種が1つ減りました。

ただ、Windowsの仕様上なんでもスケーリングすればうまく綺麗に表示できるというわけではないので、ソフトウェアによっては表示が小さくなりすぎて不便な場面もあります。高解像度環境が当たり前になればいつかは解決に向かっていく問題かとは思うものの、業務などで古いソフトウェアを使う機会が多い方はFHD液晶を選んでおくのが無難かもしれません。

良かった点③:スマートフォンと充電器を共用できる


前モデルの「XPS 13(9360)」では、通常のDC端子での充電とUSB Type-C端子での充電の両方に対応しており、付属のACアダプタは従来方式の物であったため、USBでの充電をするためには混迷を極めているType-C ACアダプタを別途調達する必要がありました。しかし、2018年モデルの9370ではUSB Type-Cでの充電に1本化され、付属のACアダプタもType-Cの物に変更されています。

単体で使う分には、ACアダプタがどのような形状であろうと大きな差はないかと思いますが、最近のAndroidスマートフォンやタブレットを使っているならば充電器を共用でき便利です。XPS 13を購入したばかりの頃に北陸へ日帰り旅行に出かけたことがあったのですが、PCにカメラ、防寒具や雨具などの荷物をリュック1つに詰めて出かける上で、「充電器は1つだけ持てば良い」というのは小さなことですが非常に助かりました。

このように荷物を減らしたい時に限らず、もう1つのメリットとして、従来は高価な専用品が必要でハードルの高かった「PCを出先でモバイルバッテリーから充電する」という運用がUSB充電のPCでは格段にしやすくなったことが挙げられます。必要とする電力が大きいのである程度物を選びますが、それでも必要のある方にとっては大きなメリットになり得るでしょう。

良かった点④:旧モデルでの不満点が着実に改善されている


XPS 13(9370)の購入前、前モデルの9360を1ヶ月ほどお借りして試用したことがありました。その際に、使っていて気になったのが「動作音」と「キーボード配列」。

具体的には、せっかくのスマートなモバイルノートPCなのに、軽い負荷でうなりを上げて回り出すファンとコイル鳴きのような甲高いノイズが「外で使うにはちょっと……」とがっかりしたことを覚えています。この点は9370になってかなり改善され、動作音がうるさいと感じることは減りました。

ただ、スリープ後もしばらくファンが回っていたり、ファンが止まる時に空ぶかしのように一旦シューッと大きな音を立ててから止まる場面にはよく出会うので、これでもまだ一般的に静かな部類ではないかもしれません。しかし、高い負荷のかかるソフトウェアを動かしていない状態でファンが回り続けるようなことはなく、気にならずに使えています。薄型化によって排熱設計も難しくなっていそうですし、これほど改善されていれば十分かと思います。

もう1点のキーボードについては、9360まではJISキーボードの右端、Enterキーなどが極端に細長く詰まった配列となっていました。9370では整った配列になったとは言わないまでも、不自由なく使える程度には緩和されています。また、PgUp/PgDnキーが独立したのも便利。ただ、元々カーソルキーが小さいだけに、PgUp/PgDnとの押し間違いが起きやすくなってしまった点では良し悪しですね。

イマイチな点①:ヒューマンインターフェイスの出来はそれなり


キーボードの配列は多少改善されたものの、キーストロークが浅めなので多少慣れが必要です。近年のMacほど極端な浅さではなく、十分なクリック感もあるものの、合わない人はやはりいるかと思うので、購入を検討されている方は一度店頭で触ってみることをおすすめします。キーボード絡みで言えば、当初は「あまり速くタイプすると入力を取りこぼす」という致命的な欠陥があったのですが、BIOSのアップデートで今は解消されています。

個人的には、キーボードよりもタッチパッドに不満があり、感度や滑りは適切で問題ないものの、右クリックの判定範囲が掴みづらいことから操作しにくいと感じています。また、クリック音がパカパカとうるさいのも気になります。旧モデルのノイズの件ではありませんが、やはり外で使う機会の多いモバイルノートだけに、“音”にはもう少し注意を払って欲しいな、と個人的には思っています。

イマイチな点②:USBはType-Cのみ。SDカードスロットもmicroSD用に


これに関しては、ある程度承知の上で買った「仕様」の部分なのであまりあれこれと言う気はありませんが、9370からUSBポートはType-Cのみ(左2つ、右1つの合計3ポート)、SDカードスロットはmicroSDカードスロットに変更されています。個人向けの薄型プレミアムノートというXPSシリーズの位置付けや、昨今の一般的な利用環境の変化を考えれば、この仕様は極めて正しい姿なのでしょう。

筆者の場合は、趣味・仕事の両方でカメラをよく使うので、SDカードから写真を取り込むという機会が多く、直接挿せるSDカードスロットも、SDカードリーダーが豊富にあるUSB Aポートも同時に廃止されてしまうというこの仕様にはやや悩みました。

このためにType-CのSDカードリーダーという意外とニッチな製品を探すことになったのですが、以下の製品がとても良かったので今はこれを使っています。XPS 13(9370)で通常サイズのSDカードを使いたい方にはかなりおすすめです。

UHS-I対応の小型Type-C SDカードリーダー「AUKEY CB-UD3」レビュー

イマイチな点③:小さいけれど軽いわけではない


サイズという観点では「世界最小」のXPS 13(9370)は優れたモバイルノートですが、重量に関してはベストではありません。小型かつ薄型の外見とは裏腹に、1.21kgの重量があり。特段軽いというわけではないのです。

一口にモバイル用途のPCと言っても、人によって優先したい部分は違ってくると思います。バッグを選ばず持ち運べる小ささを求めるのか、それとも書類のたくさん入ったバッグの隙間にも楽々入れられるような薄さを求めるのか、電車移動や徒歩でも気にならない軽さを求めるのか、あるいは狭い作業スペースでも無理なく開ける使用時に必要な面積の狭さを求めるのか……XPS 13は、小ささや薄さを求めるなら最良の選択肢の1つでしょう。軽さ重視なら多少大きくてもThinkPad X1 Carbonなどの方が良いかもしれません。

イマイチな点④:信頼性


トラブルはすべてのユーザーに平等に降り注ぐとは限りませんから、この項目に関しては「XPS 13ってそういう製品なんだ」という話ではなく、こういうこともあるよ、というあくまで1つのケースとしてお読みください。

個人的な話にはなりますが、購入後1ヶ月以内に複数のトラブルに見舞われ、素晴らしいハードウェアだとは今でも思っているものの信頼性にはやや疑問を抱いています。

というのも、購入から2週間ほど経ったある日、Bluetoothの通信が一切出来なくなるというトラブルに遭遇。Bluetooth接続のイヤホンやトラックボールを使っているので困るなあとは思いつつ、仕事の都合ですぐに修理に出すわけにはいかなかったので一旦そのまま使っていた数日後、電源が入らなくなりお釈迦に……電源ボタンを押してもオレンジ色のランプが点灯するだけの高価な文鎮になってしまいました。

DELL「XPS 13(9370)」を修理に出してから戻ってくるまでの記録

結局、ネット上で言われているほどアフターサービスも悪くなく、1週間ほどで修理(基板交換)を終えて手元に戻ってきましたし、発売直後に購入した個体ということもあって多少のトラブルは仕方ないかとも思うのですが、常にPCがないと困る人にはなんとなくおすすめしにくいなあ、という気はしてしまいます。BIOSアップデートによるキーボードの動作改善の件もそうですが、常に完璧に動作するマシンが必要なら初物は避けた方が無難ですね(それはそうか……)。

まとめ


細かな不満はあれど、美しいデザインとディスプレイ、快適に使えるスペックがこのサイズにまとまったモバイルノートは他にあまりないと思います。荷物にならず常に負担なく持ち歩けるこのマシンがあったおかげで助かった場面も多々あり、今後も活躍してもらうことになりそうです。