Suicaで借りられるシェアサイクル「Suicle」を使ってみた

2018.07.29 乗り物 ライター:__agar

中央線沿線で展開されているシェアサイクル「Suicle」を先日利用してみました。同サービスの特徴や使ってみた感想などをお伝えします。

「Suicle」とは?


「Suicle」(スイクル)は、ジェイアール東日本企画、中央復建コンサルタンツ、IHIエスキューブの3社が運営するシェアサイクル。エリアとしては中央快速線沿いで、武蔵境駅、東小金井駅、武蔵小金井駅、国立駅の4駅を中心に利用できます。2013年11月にサービスを開始しました。

特徴としては、サービス名からも伺えるように「Suicaを会員証として使える」ということをアピールしています。料金プランとしては、1回ごとに料金が発生する「一時利用」と1ヶ月単位の料金で自由に使える「定期利用」、観光などに適した「ビジター利用」という3通りの利用方法があります。

Suicleのエリア


Suicleのエリアは中央快速線の沿線、区間としては武蔵境から国立までです。2018年7月時点で設置されているポートは4ヶ所で、武蔵境駅、東小金井駅、武蔵小金井駅、国立駅の駅前にあります。2015年12月までは東小金井駅近くの東京農工大学の敷地内にもポートがあったようです。

現存するポートはすべて、中央快速線の高架化で生まれたスペースを活用して作られたものです。この「駅前だけにポートがある」という仕様は比較的珍しく、街中のコンビニや商業施設などを利用して高密度にポートを配置することによって「どこでも借りられて、どこでも返せる」エリアを構築している他のサービスとはだいぶ考え方が違うようです。

それを伺わせるところはポートの配置以外にもあり、公式サイトを見ると、定期利用の場合は「自宅に乗って帰っても大丈夫!」ということで、なんと最長120時間までOKとの記載があります。こまめに借りては返す短距離での利用というよりは、のんびり使ってもらって次に電車に乗る時に駅で返してね、ということなのでしょう。少し従来型のレンタルサイクルに近いスタンスな気もしますね。

Suicleの料金


Suicleの料金プランは、一時利用、定期利用、ビジター利用の3種類があります。

一時利用は1時間あたり100円で、1日最大500円の上限があります。定期利用は月額2,500円です。この2つはWebでの会員登録が必要となります。繰り返し利用する地域住民や通勤・通学での利用者であれば、費用的にも利用時の手間を考えても、基本的にはこのいずれかでの利用となるでしょう。

ビジター利用はその名の通り、1回限りで使う訪問者向けのプラン。会員登録は不要で、1日500円で使えます。会員と違ってクレジットカードでの支払いができない(Suicaまたは現金)といった細かな違いはあるものの、一時利用会員の上限と同じ額で使えるのはなかなか良心的なように思います。ドコモ・バイクシェアやHELLO CYCLINGの1日利用の料金と比べるとかなり安いです。

また、先述のエリアについての話とも関連してくるのですが、ビジター利用・定期利用ともに、1回あたりの貸し出し時間に厳しい制限がないのでゆっくり移動できるのも良いですね。

車両は電動アシスト無しでシンプル


Suicleの車両は、20インチタイヤに内装3段変速のPanasonic製の自転車で統一されています。シェアサイクルでは電動アシスト自転車を使っている事業者もありますが、こちらはアシストなし。おそらくサービスエリアの地形からしてもあまり必要ないのではないでしょうか。

コンパクトで取り回しやすく、女性でも扱いやすそうな自転車です。乗り出してやや気になったのは、同じ20インチでもドコモ・バイクシェアで使われている「bikke」などと比べるとホイールベースが短く、漕ぎ出しでふらつく印象があること。乗っているうちに慣れましたが、人によってはちょっと怖いかもしれません。


貸し出しのための設備などはすべてポート側に備えるシステムなので、基本的に自転車側には特殊な装備はなく、ごく普通のシティサイクルです。サービスの性質上、ポート以外での一時駐輪も多いと想定されるためか、簡単な操作でロックできる鍵が前輪に付いています。

ポートは100台規模、ゲート式で管理


全4ヶ所のポートで運用しているだけあって、1つ1つのポートの規模が大きめ。それぞれ最大100台程度の配備台数となっています。



ポートの設備としては、自転車の入出場を管理するためのゲートと、料金の精算やビジター利用者の受付などに使う精算機が設置されています。


ゲートにはSuicaのリーダーが付いており、カードをタッチして通ります。PASMOやモバイルSuicaでの利用も可能です。

現状ではポートの数が少ないので配備台数が多いのはともかく、シェアサイクルとしてはポート側に比較的大がかりな設備を必要とすることからポートをこれ以上増やしにくくなってしまっているのでは?と感じました。

もちろん、先述のようにあまりポートを増やさない運用方針のようではあるのですが、例えばドコモ・バイクシェアのように、ビーコンと簡易的な自転車ラックだけでポートを設置できるシステムと比べると大々的な展開はしにくそうです。

ただ、ポートのコストを抑えたシステムというのは自転車側に管理装置の一部を回す(=1台あたりのコストが上がる)ことの裏返しでもあります。今のSuicleのように「駅から自宅へ乗って帰って、翌朝の通勤・通学時に返却する」というような1人あたりの利用時間が長いビジネスモデルで十分な台数を確保するには、おそらくポートに設備を集約する方式のほうが適しているのでしょう。

使ってみた感想


Suicleのサービスエリアは平坦な場所が多い上に、武蔵境~東小金井の高架沿いなどは自転車レーンが確保されている区間も多く、快適に走行できました。このエリアは南北方向の移動手段が少ないので、それを補完する二次交通としての使い勝手も良さそうです。他のシェアサイクルと比べると、時間を気にせず使える料金プランとなっている点でも使いやすいサービスだと思います。


周辺環境やサービス内容に関しては満足な一方、少しもったいないなと思ったのが「Suicaで使える」というアピールポイントがあまり活かされていないところです。結局はアカウントにSuicaを紐付けて会員証代わりにできるということに留まっていて、言ってしまえばこれと同じ事はドコモ・バイクシェアでもできます。

「一時利用」や「定期利用」であれば会員登録が必要ですし、会員登録不要と謳っている「ビジター利用」も、実際にやってみると会員登録に限りなく近い操作が必要です。ビジター利用の手順としては、精算機でユーザー情報を入力→携帯にSMSが届く→SMSに書かれている番号を精算機に入力→Suicaを紐付けるためにリーダーにかざす→料金を決済するためにもう一度別のリーダーにかざす、という手順でようやく使えます。

せっかくJR系列の運営でSuicaが使えるということを活かすなら、もう一歩踏み込んで、例えば記名式Suicaを提示すれば会員登録に代えられるシステムにしたり、沿線のSuica定期券があれば割引を受けられるようなサービスになったりすると、鉄道事業との相乗効果が生まれるのではないかなと感じました。