「HELLO CYCLING」で約50kmをサイクリングしてみた感想

2018.08.23 乗り物 ライター:__agar

先日、ソフトバンク系のシェアサイクル「HELLO CYCLING」を利用して、50km強のサイクリングを楽しんできました。

以前にも短距離で利用したことが何度かあり(むしろそちらが本来の用途ですが)、他のサービスと比較するためにも一度じっくり利用してみたいと思っていたのでこのような旅に。旅の記録というよりは、サービス自体の使い勝手などの感想を中心に書き残しておきたいと思います。

「HELLO CYCLING」は全国共通のアカウントで使える


近年、日本でもシェアサイクルの普及に向けた動きは活発化しています。東京、横浜、大阪、仙台などでサービスを展開しているドコモ・バイクシェアなどの国産サービスはもちろん、ofoやMobikeのような海外発のマーケットリーダーも進出してきている状況です。今回紹介する「HELLO CYCLING」は、ソフトバンク系のOpenStreetという企業がシステムを提供しています。

特徴は追々書いていくとして、先行するドコモ・バイクシェアのサービスと比べると大きな違いだなと思うのが「全国1つのアカウントで使える」という点。地域ごとにアカウントを持つ必要はなく、後述のように実はポートによって運営会社が異なるケースもあるにも関わらず、エリアを問わず1度登録してしまえばスムーズに使えます。

ビジネスモデルとしては、OpenStreetによる「HELLO CYCLING」という統一されたプラットフォームの上で、提携する各社が実際のサービスを展開しています。ポートや車両の運用は各事業者が担う上下分離方式です。

事業者によって「シェアペダル」や「ダイチャリ」など独自のサービス愛称が付けられていたり、マップ上のポート情報にもそのサービス名が表示されていることも多いので戸惑うかもしれませんが、事業者の異なるポートでも自転車の返却はでき、基本的にはユーザーが意識する必要はありません。このような方式を採っているおかげか、ポート数はかなり急速に増加中。仕組みが異なるとはいえ、数年単位で先行しているドコモ・バイクシェアの合計ポート数に追い付くのではないかという勢いです。

「ポート数が多い」「どのエリアでも自由に乗り入れられる」という特徴から、都市型のサービスが多い他のシェアサイクルではまだ考えられないようなロングライドも場所によっては出来るんじゃない?とひらめいたのが今回の旅の始まりでした。東京湾沿いは特に増えてきていて、蘇我から横須賀までのほぼ半周にポートが分布しています。今回は50kmほどに留めましたが、ぐるっと100kmほどのコースも地図上では考えられます。自信のある方はぜひ。

今回の旅程


今回は、JR蘇我駅から少し歩いたところにある「セブンイレブン 蘇我店(千葉県千葉市)」のポートからJR錦糸町駅付近の「江東橋1丁目 LIVCITY錦糸町参番館(東京都墨田区)」のポートまで、回り道をしつつ約55kmを走行。







猛暑の中でこの距離を乗るのはちょっと……ということで、深夜に出発して朝にゴールする旅程としました。


バッテリー残量などの兼ね合いで途中のポートで自転車を乗り換えつつ、計3台を利用。合計金額は1,680円でした。

車両は26インチの電動アシスト車が中心


HELLO CYCLINGの車両は完全に統一されているというわけではなく、「ecobike」など独自仕様の自転車を導入しているところもあります。しかし、ある程度の標準仕様と言えるものはあり、多くの事業者では上のような自転車が使われています。

ベースとなっているのは、ヤマハの「PAS ナチュラ」という電動アシスト自転車。内装式の3段変速です。カラーは白で、ひと目でシェアサイクルと分かるような派手な色で塗られていることが多い他社と比べると普通のママチャリっぽい見た目です。ハンドルの中央付近に返却などの操作を行う機器があり、後輪にはそれに連動したスマートロックが付いています。車載端末の操作は正直分かりにくく、初見だと迷うかも。

スタンダードな26インチの車両とあって、普段よく乗るドコモ・バイクシェアの車両(20インチ)より安定性は良さそうです。実際ふらつきにくいですし、多少の段差も快適。速度も維持しやすいです。しかし、仕様だけを見ればこのように使いやすそうに見えるのですが、実際に使い込んでみると思わぬところで車両に関してのイメージはマイナスに。


というのも、今回の旅で使った3台、それ以前に別の場所で使った2台、そして利用時にポートに並んでいる他の自転車などを見ても、お世辞にも手が行き届いているとは言えない……というより、海外のシェアサイクル事情などを見聞きするにこれでもまだ悪い方ではないのだろうと思うので「ドコモ・バイクシェアって相当お金掛けてるんだろうな」という感じです。

タイヤの空気がかなり抜けていたり、変速機の調子が悪かったり、車載端末の配線が切れかけていたり、スマートロックのつまみが無くなっていたり、リアホイールの中に付いている黄色の「HELLO CYCLING」プレートが落ちかけていたり……最初期の車両でも2年足らずしか経っていないはずにしてはイマイチな状態の車両が多い印象。たまたまハズレの個体を引き当ててしまっているのかもしれませんし、上下分離であるサービスの性質上、管理している事業者が違えばサービス品質も違ってくるのだろうとは思います。

バッテリーと料金の悩ましい問題


短距離ならともかく、ある程度の距離を移動する時には気になるのがバッテリーの問題。この点に関してはあまりおすすめできません。

HELLO CYCLINGの利用時の流れとしては、アプリで車両を予約→ポートに行って予約した番号の車両を探して認証して借りる、という手順なのですが、アプリ上ではバッテリーの残量は分からないので予約は運です。そしてメンテナンスの話と似ていますが、これまで利用してきた経験上、ドコモ・バイクシェアほど頻繁に充電(バッテリー交換)をしてくれてはいないと思います。エリアも広いので仕方ないとは思うものの、「せっかく予約したのに行ってみたら使い物にならず、キャンセルして取り直し」ということがよく発生するのはストレスです。


しかし、HELLO CYCLINGには頻繁な巡回をせずともバッテリー問題を解決できる素敵な仕組みがあります。充電可能なポートが用意されているのです(アプリでは緑色のピンで表示されます)。ただ、残念ながらこれはほとんど設置されていません。関東では埼玉県に6ヶ所、神奈川県に4ヶ所あるだけの貴重な存在です。

電池が無ければ乗り換えればいいのですが、困るのが1日料金で利用したい時。HELLO CYCLINGの1日料金は他社のように途中での自転車の乗り換えが出来ない1台単位での課金なので、途中で乗り換える羽目になると損をすることになります。自転車によって管理会社が違うので料金制度の方を変えるのは難しいかと思いますし、せめて充電ポートさえ増えてくれれば……。

この話からは脱線しますがポート繋がりでもう1つ言うと、利用状況に応じた車両の再配置というのも重要な要素でしょう。すべての利用者が往復乗車するとは限らず、「借りる人ばかりで空になってしまうポート」と「返却する人ばかりで満車になってしまうポート」というのはどうしても発生します。HELLO CYCLINGの場合はポートごとの返却台数がしっかり決まっているので(返却ラックの数を超えてあふれかえるほど自転車を停めることはできない仕組み)、最悪の場合「目的地まで来たのに自転車を返却できず、他のポートを探さなければならない」というようなことも起きます。どうしても、適正なランニングコストをかけている運営事業者かという話に帰結してしまいますね……。

まとめ


メリットはやはり広範囲に配置されたポートの多さ。特に、東京・神奈川・埼玉・千葉の国道16号線から内側のエリアには強いです。多数の企業が絡むサービスでありながら全国統一のアカウントで利用できたり、別事業者のポートでも返却できたりと、境目をユーザーに意識させない設計となっている点も良いと思います。(状態を抜きにすれば)26インチ車で快適に移動できますし、都市部での移動はもちろん、休日のサイクリングにも使えそうです。

一方で、メリットだけでなくデメリットも“上下分離方式”ゆえのポイントが目立ちます。車両のメンテナンス、バッテリーの充電、利用状況に応じた車両の再配置。こういった部分がしっかりしていないと結局は使いにくいサービスで終わってしまいます。全国どこでもいつものアカウントで使える安心感に反して、サービス品質はどうしても事業者次第になってしまう部分が出てきてバラつきがありそうというのは惜しいところ。規模的にはかなり伸びてきているサービスなので、これからユーザビリティーも少しずつ改善されて行けば良いなと思います。