6.2インチで146gの軽量ハイエンドスマホ「AQUOS zero」レビュー

2019.01.31 モバイル ライター:__agar

ソフトバンクから2018年12月21日に発売された「AQUOS zero」を年末に購入しました。1ヶ月ほど使ってみたのでレビューしておきたいと思います。

「AQUOS zero」とは?


2018年冬モデルとして登場したシャープの「AQUOS zero」は、既存のAQUOS Rシリーズとはコンセプトの異なるもう1つのフラッグシップモデルです。今やAQUOSの代名詞とも言えるIGZO液晶ではなく、シャープ製有機ELディスプレイを搭載する最初の機種でもあります。

最大の特徴は、6.2インチの大画面でありながら約146gという軽さ。大画面化、大型化に伴って重量化も進む昨今のスマートフォンの中ではかなり軽い部類でしょう。画面サイズの近い機種の重さをいくつか調べてみると、例えば5.8インチの「iPhone XS」は約177g、6.0インチの「HUAWEI P20 Pro」は約180g。

逆に重さの近い機種で言えば4.7インチの「iPhone 8」が148gなので、イメージとしては「iPhone 8ぐらい軽いのに、iPhone XRより画面が大きい」と考えると分かりやすいかもしれません。

AQUOS zeroの特徴は軽さだけではありません。立体音響技術「Dolby Atmos」の採用や湾曲したディスプレイでもタッチ抜けが起きにくいようチューニングされたタッチパネルなど、こだわりの仕様でゲーム・エンタメ用途に適した機種としてアピールされています。また、従来機の放熱設計に加えて、発熱源を分散させる「パラレル充電」という仕組みを採用。充電しながらでも快適に使えるとしています。

日本ではソフトバンク専売ですが海外展開も行うようで、台湾での発売が確認されています。鴻海傘下となってからはSHARPブランドの海外向けスマートフォンの展開も目立っていますが、これまではAQUOS P1などの一部機種を除き、日本国内で発売される機種とはまったく別のFIH Mobile主導で開発された機種でした。

日本で開発されたモデル、それもフラッグシップモデルをほぼ同じタイミングで海外でも発売するというのはこれまでのAQUOSシリーズにはなかった動きですね。



メーカーによれば、AQUOS zeroは「画面サイズ6インチ以上で、電池容量が3,000mAhを超える防水対応のスマートフォンにおいて世界最軽量(2018年11月30日現在)」とのこと。これだけ細かな条件が付いていると、「条件によってはもっと軽い機種があったのかな?」と気になってきませんか?

ここからは余談ですが、国内で販売されている機種ではまずそのような機種は思い当たらなかったので、海外のスマートフォン情報サイト「GSMArena」のPhone Finderを使って「画面サイズ6インチ以上、バッテリー容量3,000mAh以上、重量145g以下」の機種を検索。

すると、条件に当てはまったのはVivoの「Y81i」という2018年11月に発売されたエントリーモデルだけでした。改めて、ハイエンドモデルでこれだけの条件を達成しているAQUOS zeroの凄さが伝わってきます。

Vivo Y81i | GSMArena

パッケージ・付属品


「AQUOS zeroは欲しい、でもソフトバンク回線は欲しくない……!台湾行くか……!」と発売直前までは思っていたのですが、気を失ってソフトバンク版を手にしていました。

外箱はAQUOS Rシリーズと同様、黒地にAQUOSロゴが入ったシンプルなもの。内箱にはカーボン風の柄が付いています。最近のソフトバンクの機種では型番が表に出てくることはほぼありませんが、パッケージを見るとAQUOS zeroの型番は「801SH」となっていました。


スマートフォン本体のほかには、イヤホン変換アダプタ、SIMピン、クイックスタートガイドが同梱されています。

外観


まずは前面から。一見、ノッチ付きでベゼルが狭めのごく普通の今時のスマホという印象ですが、よく見ると画面全体が湾曲しているのが変わったところ。

画面が湾曲している機種といえばGalaxyシリーズが代表的ですが、あちらはディスプレイの両端がカーブしていて中央部は平らになっています。AQUOS zeroの場合は左端から右端までディスプレイ全体がゆるやかな孤を描いていて、なかなか手間がかかりそうな作りです。自社製OLEDを搭載する初物ということもあって、技術力を披露する意味合いもあるのかもしれませんね。


インカメラ分だけの切り欠きとなっていたAQUOS Rシリーズとは対照的に、そこそこ目立つ大きさのノッチが付いています。このあたりは薄型化のためのパーツ配置の都合もありそうです。


バックパネルは、カーボンのような綾織の織り目が素敵なアラミド繊維製。かつて(スマートフォンの方の)「RAZR」シリーズに使われていたケブラーもアラミド繊維の一種なので、実機を見るまではAQUOS zeroも同様の手に吸い付くようなしっとりとした手触りなのかな?とイメージしていましたが、実際には樹脂に近い硬質な仕上げです。

ここは好みの分かれるところかなと思いますが、最初のイメージとは違った一方で、柔らかい質感だと使い込むうちにひっかき傷などが意外と目立ちやすいデメリットもあるので、着脱可能なケースなどではないスマートフォン本体の外装に用いる素材としてはこちらが正解かも。

背面も前面と同じぐらいの孤を描いていて、端末全体としては左右が薄い楕円形の断面になっています。数値上は厚さ8.8mmと特別薄いわけではないのですが、形状が良いのか比較的持ちやすいと感じます。


右側面には音量キーと電源キー。


フレームの素材はマグネシウム合金で、軽さを重視した機種らしいチョイス。フロントパネル・バックパネルよりもフレーム部分が引っ込んでいて、窪んだ形状になっています。公式サイトを見ると、持ちやすさや落としにくさを考えた指が掛かりやすい形状ということのようです。細かい部分ですが少々珍しい作りですね。


上部にはSIMカードスロット。


下部にはUSB Type-C端子。イヤホンジャックはなく、有線のイヤホンを使う場合は付属の変換アダプタを使います。コンセプトムービーにミリシタを出すほど音ゲー推しなのに、そんな……。

スペック・動作

AQUOS zeroのスペック表

SoCSnapdragon 845 2.6GHz+1.7GHz オクタコア
RAM6GB
ROM128GB
画面サイズ6.2インチ
画面解像度2992×1440(WQHD+)
バッテリー3,130mAh
OSAndroid 9
アウトカメラ約2,260万画素 F1.9
インカメラ約800万画素 F2.2
サイズ約154×73×8.8mm
重量約146g
カラーアドバンスドブラック

SoCは「Snapdragon 845」を搭載。発売時期的に、このようなハイエンドモデルを求める人にとっては次の“855待ち”というようなケースも少なくないかとは思いますが、Rシリーズでもsenseシリーズでもややメモリが少なめの機種が多い印象のAQUOSでは珍しく、ターゲットとしてゲーマー層の存在を意識しているだけあってか、RAM 6GBの不満なく使えるスペックに仕上がっているのはありがたいところ。ストレージも読み書きの速いUFSを採用しています。


ベンチマークスコアそのものはSnapdragon 845搭載機としては妥当なところ。印象的だったのは、暖房の効いた室内で計測したのですが、ベンチマーク完走後でもあまり本体温度が上がっていなかったこと。放熱を意識した設計の効果はある程度出ていそうです。


普段使いでの動作の快適さはこのクラスではもはや大きな差は付きにくいと思いますので、公式サイトやコンセプトムービーからも力を入れていることが伺えるゲーム用途で試してみようといくつか遊んでみました。

特に驚いたのは音楽ゲームでの動作。これは単純なスペックだけでなくタッチパネルやOS側の仕様なども絡んでくるところではありますが、Androidスマートフォンでこれだけ違和感なくプレイできる機種には初めて出会いました。上のスクリーンショットは「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」のものですが、判定調節なしの状態で普通に遊べるなんてiPhoneか!?と思うほど。少なくともスピーカー使用(Dolby Atmosオフ)ではほぼ完璧です。

ソフトウェア・機能


かつてのAQUOS(というよりAQUOS PHONE)のUIといえばゴテゴテした独自のカスタマイズが目立ちましたが、近年はすっかりおとなしくなり、見た目はAOSPに近い仕様に。人工知能「エモパー」や端末を手に持っている状態を検知する「Bright Keep」などの機能でユーザーをサポートする方向へ変化しています。

AQUOS zeroもソフトウェア的にはRシリーズやsenseシリーズとほぼ同じです。液晶ではなく有機ELなので「のぞき見ブロック(ベールビュー)」がないといった細かな違いがある程度です。ハード的には、FeliCaはありますが、軽量化のためかワンセグ/フルセグは非搭載。senseシリーズも含めて非搭載のモデルが増えてきたので、以前と比べれば「AQUOS=テレビ」のイメージで知らずに買ってしまうケースは少ないのかなと思いますが、必要な方は要注意ですね。


初物のシャープ製有機ELに関して言えば、予備知識が無ければそもそも有機ELであることに気付かないかもしれないと思うほどに、IGZO機の発色によく似ています。

液晶の機種にも言えることですが、AQUOSシリーズは発色を決める「画質モード」がデフォルトでは癖の強い設定になっているのが非常にもったいないと思います(「おススメ」というシーンによって発色がコロコロと変わる設定)。店頭のデモ機では設定画面はロックされていることがほとんどですし、購入しても一部のマニアを除けばこんな設定は知らず触らずに使い終える人が多いでしょう。

個人的には、AQUOS zeroの有機ELの自然さを一番活かせる画質モードは「標準」だと思います。反対に、ある種有機ELらしい少し過剰なくらいの鮮やかさが欲しい人は「ダイナミック」を試してみても良いのかもしれません。


使ってみて良かった機能は「Dolby Atmos」。迫力のある音で、内蔵ステレオスピーカーで音楽や動画を楽しむには効果的でです。小さな音量でもDolby Atmosを有効にすると、軽量化のために削ぎ落とされた筐体が「Xperiaのダイナミックバイブレーションシステムかな?」というぐらいに震えますが、これはこれで(良く言えば)臨場感があるかと。ただ、スピーカー使用時とイヤホン使用時の設定は別個にして欲しかったですね。


Android 9なので「Pixel 3」などと同じピル型ホームボタンが標準となっていますが、「ホームボタンを上にスワイプ」という設定を解除すればAndroid 8.1以前で使われていた3ボタンのナビゲーションバーにも変えられます。


やはりAndroid 4.0から慣れ親しんでいたナビゲーションバーなので、最初は新しい操作に違和感もありましたが、気付けば設定を戻さずピル型ホームボタンを使うようになっていました。Pieの標準機能で便利だなと思ったのが、「自動回転」を無効にしている時の動作。端末を90度傾けるとホームボタン横の空白部分に画面を回転させるボタンが現れ、手動で表示の向きを切り替えられます。横になりながら動画を観たりする人は嬉しい機能ではないでしょうか。

カメラ


AQUOS zeroのカメラは約2,260万画素のイメージセンサーに、35mm判換算で22mm相当の画角となるF1.9の広角レンズを組み合わせています。仕様を見る限り、おそらく「AQUOS R2」のカメラユニットから動画専用カメラを省いてシングルカメラにした、といったところでしょう。

以下、実際にAQUOS zeroで撮影した写真です。大きいサイズで見られるようにしてあるので、必要に応じて画像をクリックしてご覧ください。


(↑デジタルズームを使用)


ここまで色々と褒めてきたこの機種ですが、カメラに関してはどうも好きになれません。というより、はっきり言ってしまえば2018年後半のハイエンドモデルに相応しいレベルには達していない写りですし、それ以上に使いにくいです。

“使いにくい”と感じる要素はいくつかあるのですが、1つはレンズの画角。スマートフォンのカメラは全体のトレンドとして広角化が進む傾向にありますが、デュアルカメラやトリプルカメラの広角寄りの役割で組み込むならいざ知らず、シングルカメラで22mm相当というのはかなり扱いに困りました。

目の前にあるクルマを撮っても料理を撮ってもトリミング必須、かといって寄れば端末の影が入るか広角レンズ特有の歪みが目立つか……1台でさまざまな被写体を撮る人が大半であろうスマートフォンのカメラとしてはシーンを選びすぎる画角です。もっとも、それを抜きにしても決してよく写るわけではないのが悲しいところですが……。


そして、もう1つはカメラアプリの出来が残念なところ。イマイチな要素はいくつかあるのですが、中でも閉口したのはHDR撮影の遅さです。これはセンサーの読み出し速度もあるかもしれませんね。

真昼間に使っても「カメラを動かさないでください」という表示が長々と出る始末なので、当然使える状況はかなり限られます。にも関わらずオートHDRのON/OFFしか選べない(HDR自体の手動切り替えができない)ので、これを使うにはシャッターチャンスを逃す覚悟が必要で、実質あってないような機能になってしまっています。

まとめ:「AQUOS zero 2」があるならきっとまた買う


6.2インチの大画面で約146gという軽量ボディ、初搭載の自社製OLEDなど、意欲的な試みが多数盛り込まれた「AQUOS zero」。近年のAQUOSシリーズの中では異色の尖った端末で、senseシリーズの商業的な成功などを含めて以前の状況からは考えられないほどの復活を果たした今だからこそ出せる製品なのかな、と思います。

決して完璧な機種でも万人受けする機種でもありませんが、その成り立ちは奇をてらったものではなく、想定されるヘビーユーザー像から逆算されたニーズとして、軽さや持ちやすさ、要素を導いた合理性のあるものです。目立ったキラー機能があるわけではないものの、刺さる人には刺さる機種でしょう。カーボンやマグネシウムを使ったまさにそういうユーザーが好きそうなデザインも、決して軽量化だけが理由ではないはず。

かくいう私もこの機種が発表された時から(正確にはIFA 2018で“シャープ製OLEDスマホの試作機”として披露された時から)これは絶対に買おうと決めていたクチですが、実のところ、大きいスマホは苦手だと自分では思っていました。しかし、AQUOS zeroを使っていて「デカいな」と思ったことは不思議とないどころか、片手でも平気で操作しています。本当は大きいスマホかどうかはあまり重要ではなく、重いスマホ、持ちにくいスマホが苦手だったのか!と気付かされました。

もう1つのフラッグシップ機であるRシリーズや普及機であるsenseシリーズのように、第3のシリーズとして「zero」が続いていくのかどうかはまだ分かりませんが、次があるならまた買う、とあえて1年後(?)の購入宣言をしてこの記事の結びとします。