エルアル イスラエル航空の就航初便に乗ってきた(テルアビブ発LY91便搭乗記)

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エルアル イスラエル航空は、テルアビブと成田を結ぶ初の定期直行便を2023年3月1日に運航開始しました。本稿では、テルアビブ発の就航初便に搭乗するためにイスラエルへ渡航した筆者が、当日の様子をお伝えします。

(使用する画像はすでにツイートしているものが大半ですが、本稿は時系列に並べて執筆しています)

同路線は当初2020年3月に就航予定だったものの、流行りモノの影響で延期を繰り返していました。果たして本当に飛ぶのだろうかという謎の状態のまま約3年が経ち、今回ついに運航が始まりました。筆者は3年前もこの直行便に乗るつもりで予約をしていたのですが、就航まで本当に長かったです。現時点では11月までの運航が決定しており、テルアビブ発は水・土曜、成田発は木・日曜の週2便を設定しています(成田発は3月5日から運航)。

エルアル航空=「世界一厳しい」「世界一安全」な航空会社

まず、なぜこの便に乗るためにわざわざイスラエルに吸い込まれたのかを理解してもらうために、エルアル航空について簡単に説明をしておきます。(常識だろ! という方は適当に見ておいてください)

エルアル航空はイスラエル最大の航空会社で、周辺国家や組織との対立関係やハイジャック・テロ対策などの目的から厳重なセキュリティチェックを導入していることで知られています。これらの手続きに時間がかかることを想定して、空港到着は出発の3時間前を基本としているのも特徴です。

全ての国際線の便にスカイマーシャル(武装警官)が乗っているとされていたり、航空機には地対空ミサイルで狙われた場合でもミサイルの進路を妨害できる装置が搭載されていたりと、大変興味深い取り組みが他にも多く行われています。

ちなみにイスラエルと日本の間では観光需要も高まりを見せていたようで、2019年にはイスラエルから日本には4万4120人のレジャー旅客が、日本からイスラエルには2万6100人の観光客が訪れていたようです。(出典:在日イスラエル大使館/エルアル イスラエル航空 日本総販売代理店 アビアレップス)

空港でのチェックイン

先述した通り、空港には出発の3時間前に到着することが基本となっているため、筆者も早めにベン・グリオン国際空港へ向かいました。出発フロアの正面右側にエルアル航空のチェックインカウンターが並んでいます。

ベン・グリオン国際空港では、航空会社チェックインカウンターのさらに手前にもう一つカウンターがあり、事前のセキュリティチェックが行われます。パスポートと搭乗便の証明(スマホの画面でOK)の提示が求められ、「お前が荷物を詰めたのか」「人から預かったものはあるか」「武器は持ってるか」といった想定通りの普通の質問だけを受けた後、荷物にタグが付けられ、パスポートの裏に剥がせるシールを貼られてここはクリアしました。

その後はチェックインカウンターの列に並び、10分ほどで自分の番が回ってきました。当たったカウンターはここだけ複数人が無限に談笑しており、マイクを通じて笑い声がスピーカーから大放出されているようなやる気のない感じのカウンターでした。チェックインカウンターでは行き先を答えたような気もしますが、ワクチン3回接種した証明を出しなさいとしか言われず、あっさりと搭乗券が出てきました。

ただ筆者の場合は何かを勘違いされたようで、自治体発行の証明書が一度は認められず(結局これでOKだったらしい)、念のため持っていた日本語でしか書かれていない3回目の接種券(予防接種済証)を見せたところ、カウンターたらい回しの刑になってしまいました。別の担当者に名前はこの漢字、1、2回目の印字がこれで3回目のシールはこれですといった説明をしたところ、大変理解のある担当者だったようで無事に認められ、これ(接種券)初めて見たから写真を撮らせてくれと言われ写真を撮られました。なので多分今後は日本語の接種券を出してもなんとかなるのではないでしょうか(責任は一切取りません。厚生労働省は英語併記のある証明書を用意することを強く推奨しています)。

ちなみに、インターネット上にはセキュリティチェックやチェックインカウンターで尋問レベルの質問攻めに遭ったという書き込みが多く、筆者も渡航前は一体どんな尋問をされるのだろうかと期待して身構えていた部分があるのですが、当初のイメージとは大きく異なり本当にあっさり終わってしまいました。不思議ですね。

出国

チェックインが済み搭乗券を受け取った後は、手荷物検査に進みます(普通ですね)。All Gatesと書かれた列に突入したところあっち行けと言われ、(確か)機内持ち込み手荷物のみと書かれていた気がする左側のゲートに回されました。

手荷物は拭き取り式の爆発物検査が何度も入念に行われ、X線に通すときも中身を半分以上出して何度も検査されました。特にこれ以上変なことはなく普通に検査が終わり、通過後はパスポートを読み取って顔を写す機械を通ったら出国が済んでいました。ここまで一瞬ですべてが終わってしまい正直予想外でした。

実は入国時もガムを噛みながら出てきた審査官に「どこから来た?」→「東京です」の1問しか質問されず余裕の入国を果たしています。まあ事前の調査はちゃんとしているのだと思いますが、昔より少しは寛容になったのでしょうか。かつて中東の某国で入国審査官にカウンターで尋問され、気がついたら最後の1人になっていた昔の思い出が蘇らなかったのは本当に良かったです。

ちなみに出国後の時間つぶしにラウンジ訪問を考える人も多いと思うので一応書きますが、2023年3月現在、ベン・グリオン国際空港にはプライオリティ・パスで利用できるラウンジはありません。出発前に確認したときは航空会社共用ラウンジにもなっているDANラウンジが対象となっていたのですが、つい最近対象外になったようです(参考:No More Priority Pass Lounges at Ben Gurion Airport • YeahThatsKosher)。

搭乗ゲートではセレモニーも

結局出発3時間前には余裕で出国が済んでいたので、空港内をぶらぶらしつつ搭乗ゲートを下見したところ、イベントの準備が行われているのを発見。鳥居のようなものやフォトセッション用の本格的なバックボードなどが設置されており、思っていたよりも本気のセレモニーが行われるようでした。

初便のLY91便は搭乗開始予定時刻が19時50分、出発予定時刻が20時45分(日本時間では3月2日3時45分)で、セレモニーは19時30分ごろに開始すると聞いたので18時30分頃からゲートの近くで待機していました。19時頃からわらわらと人が集まりはじめ、気がついたら大騒ぎに。一通り全員が写真撮影したあと、「MOCHI ICE CREAM」なる雪見だいふくのような餅で包まれたアイスの配布も行われました。

セレモニーの模様(自分も写り込んでいます)

在イスラエル日本大使やベン・グリオン国際空港のマネージャー、エルアル航空のCEOなどがスピーチを行う場面もあり、テープカットやケーキ入刀など、日本路線への期待を強く感じられる盛大なイベントでした。なお途中でヤジを飛ばしている集団もいたのですが、イスラエルで流行っている司法改革デモの人々が制限区域のこの場所にもわざわざ出張してきていたようでした。

いよいよ搭乗、機内へ

初便のLY91便の使用機材はボーイング787-8型機(機体番号:4X-ERC)でした。基本は787-9型機を使用すると公表されていたので、787-8の使用は初期の機材繰りの問題なのかもしれません。エルアル航空は2022年12月時点で合計45機の機材を保有しており、内訳は787-9(12機)、787-8(3機)、737-800(16機)、737-900ER(8機)、777-200ER(6機)となっているようで、787-8はそこそこ珍しい機体ということになります。

機内のモニターには就航を記念する特別な画面が表示されていました。また座席には記念品のカトラリーセットが置かれていました。機内誌の表紙には外国人のイメージする「JAPAN」が描かれ、誌面には外国人のイメージする「TOKYO」を描いた初期のキービジュアルがしっかりと掲載されていました(キービジュアルは英語のページにもありました)。

機内はほぼ満席の状態になり、21時ごろに機体が動き始めました。ちなみにエルアル航空ではヨーロッパ便限定で機内Wi-Fiサービスを提供しているのですが、日本路線は当然Wi-Fiサービスの対象外。11時間半のインターネット禁止令が発令されてしまいました。

国際線の就航初便では、エコノミークラスでも上位クラスの食事が提供されたり、いろいろ豪華になる場合が多く、今回も食事メニューの配布や記念のお酒などが提供されました。

そして客室乗務員と一緒になぜか機長クラスの方が笑顔でカートを引いて機内を回っており、ドリンクや機内食の提供、免税品の売り込みを行っていました。数少ないであろう日本人の自分にも声をかけていただき、チョコレートをもらうという珍事にも遭遇しました。こういうものって、日本のFSCで乗客側から傲慢なアピールをしなくても頂けるものなんですね。機長さんは3月5日の便で帰ると言っていたので、おそらくこれを載せる頃にはちょうどイスラエルに戻っているところでしょう。

もうすぐ成田に到着するというところで、悪天候の影響で機体がガタガタと揺れて阿鼻叫喚になっていたのですが、無事に着陸。拍手が起こりました。B滑走路(34R)に着陸したため、第1、2ターミナルの前をぐるぐるしながら長時間地上走行を行ったのち、ウォーターキャノン(放水アーチ)によるお出迎えが行われました。

成田空港内には「WELCOME TO TOKYO」などと書かれたアーチなどが用意され、空港職員や多分代理店の人、エルアル航空の方、素材が欲しいプレスに歓迎されました。その後の検疫検査や入国審査、税関は基本的に大きな問題はなく、税関の顔認証ゲートにSTOPと表示された程度で簡単に帰国の手続きが済みました。

帰国便の飛行時間はダイヤ上では11時間30分となっており、乗り継ぎが必要な今までよりも圧倒的に所要時間が短縮されました。今後は第三国経由でイスラエルに行こうとすると、なんで直行便使わないんだとか聞かれそうだなと思わないこともありませんが…‥。イスラエルの出入国は最初の印象よりもだいぶ緩く、フレンドリーな感じすらしたので、皆様もぜひこの機会にエルアル航空に乗ってイスラエルを体験してみては。

運航スケジュール

2023年3月1日~3月23日
LY91便(水・土):テルアビブ(20時45分発)~成田(翌15時15分着)
LY92便(木・日):成田(17時15分発)~テルアビブ(22時45分着)
※成田発LY92便は3月5日、12日、16日、19日、23日運航
2023年3月24日~11月30日
LY91便(水):テルアビブ(20時45分発)~成田(翌14時15分着)
LY91便(土):テルアビブ(23時30分発)~成田(翌17時00分着)
LY92便(木):成田(16時15分発)~テルアビブ(22時45分着)
LY92便(日):成田(19時30分発)~テルアビブ(翌2時00分着)

おまけ

イスラエルへの往路にはエチオピア航空を利用しており、エチオピアを経由しています。エチオピアで食べた有名なエチオピア料理のインジェラの画像を置いておきます。